全解工連

解体工事施工技師について

解体工事施工者のための資格

解体工事施工技士試験は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(解体工事業に係る登録等に関する省令第七条第三号)に規定された国土交通大臣登録試験(登録番号1番)です。

解体工事施工技士試験の合格者は、解体工事業の登録及び施工に必要な技術管理者の資格要件の一つとされています。また、本年6月には「解体工事の適正な施工確保に関する検討会(国土交通省有識者会議)の中間とりまとめのなかでは『主任技術者として適切である』と言及されました。

 

解体工事施工技士資格制度創設の背景及び趣旨

公益社団法人全国解体工事業団体連合会が「解体工事施工技士j資格制度を創設した背景及び趣旨は以下の通りです。

 

1解体工事の増加

 

 我が国における建築物の耐用年数は、構造にもよりますが一般的には30~50年といわれています。したがって、昭和30年から昭和48年にかけての高度経済成長期以降大量にストックされた建築物等が既に更新期に入っています。現在は建設工事全体で見れば工事量は減少傾向にありますが、解体工事は今後20~30年程度は増加することが見込まれています。

 その後も、国土の狭小な我が固においては特に、不要な建築物等を放置することはありえず、除去工事、建替工事あるいはリニューアル工事を含め、将来的に解体工事が行われなくなることは考えられません。

 

2解体対象物の大型化、複雑化

 

 解体対象物は、以前は木(W)造戸建住宅がほとんどでしたが、現在は鉄筋コンクリー卜(RC)造、鉄骨鉄筋コンクリー卜(SRC)造、鉄骨(S)造あるいはそれらの複合した建築物など、大型で複雑な建築物の解体工事が増加しています。原子力発電所、高層ビルなどの解体工事も徐々に始まっています。

解体工事技術も高度なものが求められるようになってきました。

 

3解体工事に関する災害の増加

 

 全産業そして建設産業においては近年、労働災害は減少しています。しかしながら解体工事に関しては減少するどころかむしろ増加しているともいわれています。解体工事を対象にした正確な統計はありませんが、例えば『建設業安全衛生年鑑』(建設業労働災害防止協会)によれば、建設産業全体の死亡災害のうち解体工事関係のものが1割近くを占めています(平成26年版) 。工事量の増加、対象物の大型化等に加えて、分別解体の徹底を図るため手作業及び高所作業が増加しているので、この傾向は続くものと思われます。

 また、解体工事中のビルの外壁が敷地外に崩落し通行者等の第三者が災害に巻き込まれる公衆災害(平成15年3月に発生した静岡県富士市の事案、平成22年10月に発生した岐阜県岐阜市の事案等)も少なからず発生しています。大型建築物等の解体工事が増加しているので、今後も大規模災害発生の危険性が指摘されているところです。

 

4リサイクルの促進

 

 地球資源の枯渇を目前に控え、世界的に資源を有効に利用する資源循環型社会の構築が模索されています。特に資源の乏しい我が国においては急務とされています。

 関係法令等も既にかなり整備されたところです。

 特に建設産業は資源を大量に消費するため、果たす役割も行動後の効果も大きく、廃棄物を大量に排出する解体工事はその意味では重要な位置にあります。

 解体工事から発生する廃棄物はリサイクルすれば、いわば都市に眠る資源です。一般国民、発注者はもちろん解体工事業者の意識高揚と努力が求められているところです。

 

5廃棄物の適正処理

 

 我が国で排出される産業廃棄物の量は毎年約4億トン、そのうち約2割が建設産業から排出されています。これらの廃棄物はリサイクルが第一義ですが一部は埋立処分することが不可避です。しかしながら最終処分場は逼迫しており、処分費用も高騰しています。そのような理由もあって不法投棄が後を絶ちません。不法投棄を防止するためには、まずは川上即ち解体工事現場で対策を講じることが必要です。現場には、分別解体及び廃棄物の適正処理まで意識が及ぶ解体工事の施工管理者が必要です。

 

6有害物の適正処理

 

 建築物等には多種類の建材が使用されてきましたが、その中には環境あるいは人間の健康に有害な物質も少なからず含まれています。石綿、PCB、フ口ン、ハ口ン、水銀、カドミウム、CCA処理木材などは代表例です。解体工事に際してはこれらの有害物質を含む建材を適切に処理しなければなりません。解体工事の施工者には有害物に関する相当の知識と施工技術が不可欠となっています。

 

7解体工事業界のレベルアップ

 

 「たかが解体工事!」あるいは「なんだ解体屋か!」などと多くの人が解体工事に見向きもしなかった時代がありました。解体工事業者もそれに甘んじていた節がありました。

 最近になってようやく、解体工事の公共性・重要性が急速に高まるにしたがって国民や行政の認識も変わり、解体工事業界の人的及び技術的レベルも徐々に向上してきましたが、まだまだ十分ではありません。将来に亘って社会の要請に応えるためにはさらなるレベルアップが必要です。

 そのためには解体工事業界が自ら努力することが大前提ですが、それを支える客観的なしくみ・制度、例えば資格者制度等の整備が不可欠です。

 

8解体工事業界の人材確保

 

 少し前までの解体工事は職人の勘と経験に頼っていました。現在でもその比重は小さくありません。ところが現在、経験豊富な職人の引退により技術の伝承が途切れようとしています。若い有能な人材も所謂3K職場は敬遠しがちで、人材確保はままなりません。若い世代が自信と誇りをもって仕事に遁進できる解体工事業界を築かなければ、将来的には的確な解体工事ができなくなります。そうなれば一般国民も大きな不利益を被ることになります。

 後を継ぐ若い世代のためにも是非、解体工事の専門資格制度を確立しておいてやりたいと考えています。

 

9解体工事専門工事業の確立

 

 改正建設業法が平成26年6月4日に公布されました。

 許可業種区分が見直され「解体工事業」が新設されます。新設は43年ぶりのことです。このことは、解体工事業の認知度の向上、解体工事業従事者の職業意識の向上、施工技術の向上等、多くのよい影響をもたらすものと考えられます。

 一方、建築物等の解体工事を請け負うことのできる業者は、建築工事業許可業者、土木工事業許可業者、解体工事業許可業者及び解体工事業登録業者の4種となり、各専門工事業許可業者がその付帯する解体工事を施工する場合もあり得ることを考慮すれば、本来の解体工事専門業者の真価が問われることになります。

 解体工事業者の技術力を担保するため、あるいは高品質の解体工事を施工するためにはしっかりとした技術者制度が必要です。

 そこで、解体工事施工技土資格制度の本格的な活用が期待されています。

 

10国土交通省はじめ行政のご理解

 

 以上のような現状浸び将来を鑑みたとき、解体工事業界にまずは専門の資格制度が不可欠と誰しもが患い至るはずです。多くの課題を解決する端緒になると理解することができるはずです。平成5年当時の建設省のこのようなど理解ご認識の下、この「解体工事施工技士資格制度」が創設されました。

 もっとも、この頃から規制緩和、小さな政府などの政治風潮が強くなり、この流れに逆行することは容易でなくなりました。

 それでも、国土交通省はこのような流れと公共の利益を天秤にかけ、平成12年に成立した「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)において、この解体工事施工技士資格を活用することに踏み切りました。一部の自治体等では既に解体工事を独立した専門工事と位置づけるとともに解体工事施工技士資格者の現場配置を推進しています。